あと1日


[04]過去


「すいません、急に呼び出したりして。」
廊下でメイと並んで座ると、笑いながらそう言った。
メイと2人になると、公園で結論を出したあの日を思い出す。
「いや、俺もどうせ暇だったし。」
そうですか、と頷いてメイが話し始めた。
「ついに明日ですね…。どうですか?今の心境とか。」
「そうだな…まあ昨日ついに宇宙に来てさ、実感は湧いてきたな。…嘘みたいだよ。あんなに悩んでたのに…もうここまで来たなんて。」
素直な気持ちだった。
不思議な気持ちがずっと渦巻いている。
「そうでしょうね…実は恥ずかしい話、私も宇宙に来たのは初めてなんです。すごく緊張してるんですよ。」
顔を赤らめながら、照れながらメイはそう言った。
「そうか…メイは何でEPに入ったんだ?」
「私は…別に最初は入る気は無くて。」
入る気が無かった?
「私が高校2年生の時に…両親がどこか行っちゃったんです。私を置いて…。悪く言うと、捨てられたんです。」
少しうつ向いてメイが言う。
「それから親戚達も全然引き取ってくれなくて。施設に入れられたんです…私。」
何かを言おうとしても言葉が出せなかった。
「そこで…感情とか言葉を失っちゃって。ずっと引き込もってたんです。そうしてたら…スイさんに拾われたんですよ。」
「拾われた…?」
「はい。たまたまスイさんが通りかかった時に外でぼーっとしてて…来ないか?って。」
メイは小さく笑って俺の方を向いた。
初めて聞いた、メイの過去に俺は少し黙ってしまった。




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