あと1日


[05]明日。


「だから私…親の温かさとか知らなくて、ちょっとうらやましいんですよ。太陽さんと裕太君の事。」
メイは笑顔を向けてそう言った。
「そうだったのか…悪かったな。こんな事聞いたりして。」
何となく聞いてはいけない事を聞いてしまった気がして、つい謝ってしまった。
「謝らなくても良いですよ!私が勝手に話したんですから。」
メイの方にふと顔を向けると窓の外の宇宙が見えた。
「…凄いですよね。地球って本当に青いんだ…って驚いちゃいました。」
少女の様な笑顔でメイがそう言う。
その表情が由紀子にすごく似ていて、俺は懐かしい気持ちになる。
「…太陽さん?」
ついぼーっとしてしまって、メイが顔を覗き込んでくる。
「いや、何でも無いよ。…ついに明日か。どの辺なんだろうな、隕石とやらが来るのは。」
何もない宇宙の中の空間を見つめてみた。
「そうですね…。私…カイのお父さんの話聞いた時に思ったんです。こんなの酷いって。誰も20%なんかじゃ帰れる訳ないって…。」
俺もカイの父親の話を思い出した。
「でも、思います。太陽さんなら無事に帰る事が出来るって。気休めなんかじゃなくて本当に…。」
メイは笑顔だったが強い瞳を俺の方に向けていた。
「…ありがとう。帰るつもりだよ、俺も。不思議だな…あんなに不安だったのに今は全く負けるつもりないんだ。」
俺がそう言うと、メイは笑って頷いた。

メイと別れて部屋に戻ると、すぐに布団に入った。
「…待ってろよ、隕石とやら。明日は負けないからな。」
そう呟いて目を閉じた。

ついに明日だ。
俺の運命が決まる日だ。




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