あと2日


[06]宇宙


「すげー…。」
ずっと1人でこんな事ばかり呟きながら、丸い窓の外を見つめていた。
もう俺は宇宙にいる。
外に見えるのはいつもの青い空じゃなくて…真っ黒な景色。
遠くには輝く星があって、近くで見るとそれはただの岩の様な…とにかく不思議な光景が目の前にただ広がっていた。
俺を乗せたこのロケットが目指す場所はEPの宇宙ステーションらしい。
「やっぱり…不思議な気持ちですよね。」
後ろにカイが立っていた。
「そうだな…自分がもう地球に居ないっていうのが…」
嘘みたいだ。
「…あ、見えますよ。地球が…。」
そう言ってカイが指差す方に目をやると…
「これが地球…。」
ついさっきまで俺が居た地球が見える。
地球は青いって本当なんだな…。
あの地球に裕太や両親や楓や仕事仲間が今もいるんだ。そう思うと変な感じがした。
「…今なら何となく分かる気がします。親父の気持ちが。」
カイが地球を見つめながら話す。
「親父が死んだ時…意味が分からなかったんです。何で親父は自分の命を犠牲にしてまでも地球を守ったんだろう…って。」
カイは淋しそうに微笑んだ。
「でも…大切な物を守りたいって気持ち、太陽さんを見てたら分かってきました。親父の気持ちが…。ありがとうございます。」
…また勝手な事言いやがって。
「俺は何もしてないだろ。…まあ、カイの父さんが命懸けて守った地球だ。俺も守らなきゃ…カイの父さんにお礼出来ないな。」
俺がそう言うとカイは笑いながら立ち上がった。
「じゃあ、僕は戻ります。…いつもの太陽さんで安心しました。」
いつもの…そうか、俺の事を心配して来てくれたのか。
俺は独りになると、また窓の外に目を向けた。




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