あと3日


[02]夕日


時間が過ぎるのは本当に早いもので…あれこれのんびりしていると、もう夕日が空に出てきていた。
俺は裕太と外を散歩中。
こういった時間がすごくかけがえのない物なんだって、今頃になって気付かされる。
「見てっお父さん!空が真っ赤だよ!」
裕太が道の途中で立ち止まって空を見上げていた。
この道は…そう、俺がカイの父親が隕石を壊した瞬間を見た…あの道だ。
「綺麗だな。」
俺も裕太と一緒に立ち止まって空を見上げた。
「…裕太、お父さんな、大事な用事が出来ちゃって…ちょっと遠くに行かなきゃいけないんだ。」
「そうなの?」
裕太が俺の目を覗きこんでくる。
「うん。その間…おじいちゃんとおばあちゃんの所で待てるか?」
しゃがみ込んで、裕太の目を見てそう聞く。
「どうして?お父さんどこ行くの?」
裕太が少し泣きそうになってそう言った。
この1年間、2人で過ごしてきたのだから当然か…。
「お父さんは…絶対に帰って来るから。」
そう言っても裕太は横に首を振る。
「だって…お母さん…もういないんだもん…お父さんっ…いてくれなきゃ嫌だっ!」
裕太が涙交じりにそう言う。
裕太は今まで…由紀子が居なくなって寂しい想いを我慢していたのかもしれない…。
俺は裕太に寂しい想いをさせないと誓ったのに…。
そんな裕太を見ていると、俺の目からも涙が流れてきて止まらなくなった。
俺は裕太を抱きしめて話を続けた。
「裕太…ごめんな。寂しい想いさせちゃって。…でもお父さんは裕太の事大好きだから…絶対に裕太の所に帰って来る。約束する。」
すると、裕太も俺にしがみついて泣きながら言う。
「…うん。僕、待ってるよ…。」
その直後、裕太はわんわん泣き出した。
俺は裕太を抱きしめながら頭をなでて…涙を拭った。
こんな泣き虫親子を夕日が温かく包んでくれていた。




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