あと5日


[04]美容室へ


美容室に着くと、もう昼で客もいなかった。
「ちわー。」
いつもの様に入って行くが、頭の中はカイの言葉がぐるぐる回ったままだ。
「客もいないし、昼休憩とって来ていいよ。」
その場にいた後輩にそう告げると
「すいません、じゃぁお願いします!」
と言って、2人で奥に消えていった。
必然的に仕事場に1人になる。
「はぁ…」と小さく溜め息をついてイスにもたれかかる。
誰にも相談もできないしな…。
そんな事を考えていると、ドアが開いて客だろうか、1人の女子高生が入って来た。
「いらっしゃいませ。」
よく見るとその女の子は髪の毛が――誰かに切られたような――ぶつ切りになっていた。
「髪…整えてもらえますか?」
その子はうつ向いたまま、小さな声で呟いた。
「分かりました。席へどうぞ。」
何も聞いてはいけない様な気がして、それ以上は何も言えなかった。
その子のことをどこかで見た事があるような気がしたのだが…。




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