番外編〜楓〜後編


[05]約束


私は頑張って呼吸を落ち着かせた。
「だからっ…帰って来てください…絶対に。」
私は泣きながらも太陽さんに伝わるようにと、はっきりそう言った。
「…ありがとう。絶対に帰って来るから。楓の為にも…絶対に。」
そう言う太陽さんの声には迷いや不安は感じられず、強い意志を帯びていた。
「約束…ですから。」
私がそう言うと、太陽さんの声は少し明るくなった。
「ああ、約束…するよ。」
最後にそう話して電話を切った。
電話が切れた後も携帯電話を閉じれずに、しばらくそのままじっとしていた。
「太陽さん…。」
そう呟いて空を見上げた。
よく晴れていて、眩しいほどだった。
太陽さんは私たちを守るために自分の身を投げ出して…。
そう考えると胸が締めつけられるような気持ちになった。
きっと裕太君のことも心配なはずなのに…。
「20%…か。」
私はそう呟きながら、優しく微笑む太陽さんを頭の中に浮かべた。
たしかにたったの20%だけど…私は太陽さんなら大丈夫だ、そう思った。
太陽さんならきっと私との約束を守ってくれる。




[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.