番外編〜楓〜後編


[04]電話


プルルルル…。
聞き慣れている呼び出し音のはずなのに、異常に緊張してしまう。
「もしもし、岩水です。」
落ち着いた声が向こうから聞こえた。
「もしもしっ太陽さん!」
私はかなり焦って太陽さんを呼ぶ。
「楓!?」
太陽さんは驚いているようだった。
「どうしてっ…どうして教えてくれなかったんですかっ!」
私はまた泣きそうになるのをこらえた。
「太陽さんに伝えたい事があって美容室行ったんです。でも居なくて…榊さんって人に全部聞きました。」
私は少し早口で言った。
「そうだったのか…。」
太陽さんの声は相変わらず落ち着いていた。
「私が死にたいって言った時…太陽さん複雑な気持ちだったんですね…。」
私は反省と謝罪の意味も込めて、そう問ってみた。
「まあね。…悪かった。あの時は俺も悩んでいて…何も話せなかったんだ。」
太陽さんに逆に謝られてしまい、本当に優しい人なんだな…としみじみした。
2人の間に少し沈黙が広がる。
「私の…命の恩人なんですよ、太陽さんは…それに裕太君だって…太陽さんの事大好きなんですよ…。」
私の涙腺は限界に達してしまい、涙が流れ落ちてきた。




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