番外編〜楓〜後編


[03]20%


「そうだったんですか…。」
少しうつむく私に、榊さんは続けた。
「しかも…太陽が生き残れる確率が…。」
榊さんが言葉を詰まらす。
私の心臓はこれ以上はないという程速いリズムを刻んでいた。
「…20%なの。」
私は大きなショックを受けた。
それと同時に、涙が溢れてきた。
そんな大きな運命を背負っているのに…あの人は私に勇気をくれた。
私は間違っていた…「地球が無くなったらいい」なんて…。
「…これ。」
榊さんが私の前に一枚の紙切れを差し出した。
「太陽の携帯番号。まだ地球上にいるから繋がるはずよ。…伝えたい事があるなら、伝えるべきよ。」
榊さんの声は優しかった。
「…ありがとうございます…私…帰りますね!」
「…気をつけて。」
私は紙切れを掴むと、足早に美容室を後にした。
早く太陽さんに伝えたい。
その気持ちの大きさが私の足をいつもよりも早く動かしていた。
私は、泣いた事が両親にバレると心配をかけると思い、家の近くの公園に留まった。
携帯電話を取り出し、紙にある数字を丁寧に押していく。
私は変に緊張していた。




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