番外編〜楓〜後編


[13]報告


メイさんの後をピッタリと着いていくと、そこには確かに病院が備わっていた。
見慣れない、厳かな雰囲気に落ち着きを失ってしまう。
しばらく歩くと、ガラスに覆われた病室が見えてきた。
「…病室はあちらです。早く、太陽さんに会ってあげて下さい。」
メイさんのその言葉に、私は思わず走り出していた。
「太陽さん!!」
病室に駆け込むと、機械に繋がれて眠っている太陽さんが目に入った。
その鼓動は機械的なリズムを刻んでいる。
「太陽さん…っ…私、太陽さんに報告しなきゃいけない事があるんです…。」
私はそう言いながら必死で息を整えた。
「両親に…伝えれたんですよ、イジメられてる事。それに…負けない様に頑張ったらっ…親友できて…イジメも無くなってきたんですよっ…!?全部…太陽さんのおかげなんです。」
話しているうちに、どんどん涙がこぼれ落ちてきていた。
太陽さんは、私たちを…この地球を守る為に…。
お願い…目を開けて…。
伝えたい言葉は、まだまだあるのに涙で声が出なかった。
その時だった。
ピーー……
病室に、無情にも1番聞きたくなかった音が流れる。
「太陽さん!」
「お父さん!」
その音を合図に、皆が一斉に病室に駆け込んできた。
…太陽さん…死なないで…。
私は泣きながら、心の中で祈り続けた。
 




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