番外編〜楓〜後編


[12]山奥


「あなたが楓さん!?」
校門前で私を待っていてくれたのは、おそらくあの電話の人だった。
「早く乗って!」
「あ、はい!」
その人も私も焦っていたため、私はバタバタと車に乗り込んだ。

「…ごめんなさいね、こんな慌てて…。私はメイっていいます。」
メイさんは少し落ち着いた声で言った。
車はすごいスピードで、どんどん山奥に進んでいく。
「…メイさん…これからどこに行くんですか?」
私の問いに、メイさんは少し顔をしかめた。
「…私の務める極秘機構の本部です。そこに設置してある…病院に…太陽さんはいます。」
メイさんは言葉に詰まりながらもハッキリと告げてくれた。
「…病院…!?っ…太陽さんは…生きて…ますよね?」
お願いします…頷いて…ください…。
私は心の中で祈った。
「…はい。生きてますよ。」
私は嬉しいはずなのに、素直に喜べなかった。
…メイさんの声色が明るいものではなかったから。
「…良かった…。」
私は小さく呟いた。

「さぁ、着きましたよ。」
メイさんに促され、車を降りると山奥には似合わないぐらい立派な建物が建っていた。
「行きましょうか。」
私は、早足で進むメイさんに慌ててついて行った。




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