番外編〜楓〜後編


[11]会いに


「ありがとう…2人に聞いてもらったら少し楽になったよ!」
私は久しぶりに心から笑う事ができた。
「…その人は、楓と約束したんだろ?帰って来るって。…だったら大丈夫だよ。心配すんなって。」
「そうだよ!大丈夫!」
本当にこの2人と親友になれて良かった…そう思った時だった。
私の携帯が、震えだした。
「電話…たっ…太陽さん!?」
携帯の画面には、「岩水太陽」の文字が表示されていた。
私は慌てて通話ボタンを押して、震える手で携帯を耳に押し当てた。
「…もしもし?」
前を見れば、2人も緊張の面持ちで私を見守っていた。
「もしもし…松岡楓さん…ですよね?」
電話の向こうから聞こえるのは、太陽さんの声じゃなくて、若い女の人の声だった。
「はい…そうですけど。」
電話口の女の人の声が焦っているように聞こえて、私は嫌な予感がした。
「今すぐに学校に迎えに行きます。太陽さんに…会いに来ますよね?」
その言葉を聞いた瞬間に、私は返事をしていた。
「はい!お願いします!」
電話を急いで切ると、私は立ち上がった。
「…早く行って来い。」
「行ってらっしゃい!」
2人は状況を察したらしく、笑顔で見送ってくれた。
「…うん!行ってきます!」
私はダッシュで走り出した。




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