番外編〜楓〜中編


[09]双子


私の事を知っているのに普通に接してくれている…そう思うだけでかなり嬉しくなる自分がいた。
「ありがとう。」
気づけば私は感謝の言葉を述べていた。
「ははっ、感謝される事じゃないって。」
女の子の方が笑いながらそう返してきた。
「私は荒波千夏!」
「俺は荒波隼人。よろしくな。」
2人は同じ顔でにこりと微笑んだ。
思い出した。この2人は隣のクラスの双子だ。
可愛らしい顔立ちの2人でよく話にのぼっている。
「…よろしくして良いの?私といると巻き込まれちゃうかもよ…?」
そんな2人だけに、巻き込んではいけないと悟った。
「…何言ってんだ?これも何かの縁じゃん。関係ないよ、イジメなんて。」
隼人のその言葉があまりにも優しくて、私は涙を堪えた。
「だから楓って呼ばせてね!私たちも千夏と隼人で良いから!」
「…うん、よろしくね!千夏に隼人。」
私は2人と笑いあいながら握手をした。
嬉しさで流れそうになる涙を何度も堪えながら…。




[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.