番外編〜楓〜中編


[10]立場


それから2日後。
千夏と隼人は昨日も廊下や屋上で周りの目など気にせずに話してくれた。
そのおかげで私へのイジメは軽くなりつつあった。
しかし、今日はーー。
「松岡さん。」
和佳達が私の周りを取り囲む。
「…何?」
私が冷静に返すと和佳が鋭い目つきで話し出した。
「最近あんた荒波兄弟と仲良くしてるらしいじゃん。」
「…だから?」
予想通りの言葉を投げかけてきたので私は冷静だった。
「あの2人に迷惑かけてんの分かんない?松岡さん自分の立場考えたら?」
…意味が分からない。即座にそう思った。
私も和佳も同じ立場に立っているはずだ。
「私の立場…?意味分からないんだけど。」
私がそう言うと和佳の顔に怒りの色が見え始める。
「大体、あんたとマジで仲良くなる人なんていないから。あの2人だってそうに決まってんでしょ。」
あの2人はそんな人じゃないから…。
そう言い返せるはずなのに、言葉が出ない。
「何とか言ってみなさいよ。それとも事実?」
和佳がそう言うと、周りの皆が笑いだす。
どうしてだろう…何も言えない。




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