番外編〜楓〜中編


[03]想い


「学校に行ったって何も良い事なんて無いんだよ!?クラスの皆が私の事ひどい扱いしてっ…!」
話し出すと止まらなくて次々と言葉が溢れてくる。
「今日だって…クラスの人達に髪の毛切られて飛び出して来ちゃったんだよ…!私っ…イジメられてるの。」
私がそう言うと、両親は呆気にとられて言葉が出ない様だった。
「…本当はお母さん気づいてたんじゃないの?」
私がそう言うと、母親がビクッと肩を揺らす。
「私の体に傷がついてる事…私の制服が異常に汚れてる事…知ってたよね?」
母親はうつ向いたまま何も言わない。
その隣の父親も同じ表情をしている。
そうか…2人とも見て見ぬ振りをしてたんだ…。
私はこの時、全部を理解した。
「…結局…2人にとっては私がイジメられてる事なんて、どうでも良い事なんだよね?」
私がそう言うと、両親が必死で首を横に振る。
「そうなんでしょ!?」
でも、そんな動作も今の私には届かなかった。
「見て見ぬ振りして…!恥ずかしいんでしょ?自分達の娘がイジメにあってるのが!…2人にとっては私なんかよりも世間体の方が大事なんでしょ!?」
涙と言葉が止まらない。
「私っ…死にたい…とまで思ってたんだよ?本気で…誰かに助けてほしかった。」
私はついに、自分の胸にずっと秘めていた想いを打ち明けた。




[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.