番外編〜楓〜中編


[02]気持ち


時計に目をやると、もう6時を指していた。

外で車の音がする。父親が帰って来たんだ。
「…落ち着け、楓。」
自分で自分の気持ちを落ち着けて、下に降りていく。
ちゃんと自分の気持ちを全部話すんだ。
そう心に決めて。

下に降りると、両親が並んで座っていた。
私が来るのを待っていたらしい。
「…座りなさい。」
父親が向かって座る様に促す。
その声はすでに怒っている様だったが、私はひるまなかった。
私はゆっくりと席に着いた。
「…どうして今日は勝手に早退したりしたんだ。」
父親が厳しい口調で私を責める。
「…嫌になったからだよ、学校にいるのが。」
私がそう言うと、両親の顔に怒りの色が広がる。
「そんな勝手な理由が通ると思ってるのか!」
父親が大きな声をあげる。
「勝手なんかじゃない!私にとっては…命に関わるぐらいの事なんだよ!」
私も負けじと大きな声を出す。
「何を言ってるんだ?楓、よく考えてから物を言え。」
父親が私に教え諭す様に言う。
この言葉が私にとっては絶望的な言葉だった。
「私の事…何も知らないくせに…。」
そう思ったら、勝手に言葉が出ていた。
「親ならちゃんと私の事も考えてよ!」
私は自分の気持ちを真っ直ぐに話しだした。




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