番外編〜楓〜中編


[01]大きな勇気


美容室を出ると、私はすぐに家に向かった。
両親とイジメの事を話し合う為に…。

家の前に着いて、1回深呼吸をする。
「…よし!」
今までの私には無かった勇気が湧いてくる。
全部、太陽さんのおかげだ。
私は家の中に入った。

「ただいま。」
私がそう言うと母親が目を丸くしながら玄関の方を覗いた。
「おかえり…今日は何かあったの?早退?」
予期してなかった事態に母親は戸惑いを隠せないようだった。
「うん。早退。」
私が平気な顔でそう言うと母親の顔に驚きと怒りが広がる。
「勝手に早退して何してたの?その髪はどうしたの!?」
母親の声が少し荒くなるのが分かった。
でも不思議な程に私は冷静だった。
「後でちゃんと話すから。お父さんもいる時に話したいの…良いでしょ?」
私が少し強めにそう話すと、母親は完全には納得していなかった様だが頷いた。

そんな母親を背にして、私は2階の自分の部屋に上がった。
ちゃんと話すんだ…と決意を固める為に。
太陽さんにもらった大きな勇気。
無駄にする訳にはいかないんだ。




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