番外編〜楓〜中編


[11]価値


そんな私を見かねて、和佳が平手を入れてきた。
「あんた本気でうざい。…死ねば?」
それが合図だったかのように、周りのクラスメート達まで私に攻撃をしてきた。
痛みで上手く息が吸えず、苦しくなって反撃ができない。
それ以上に、今のこの状態自体が私を苦しめる。
その時だった。
「何やってんだよっ!楓から離れろ!」
「楓っ!」
2つの声が聞こえて、私への攻撃が止んだ。
「大丈夫!?」
前を見れば、泣きそうな顔の千夏がいた。
「お前ら…大勢で卑怯だぞ!楓が何したっていうんだよ!」
その少し前を見れば、クラスメート達に怒鳴る隼人がいた。
助けてくれたんだ…私にはそれだけでも十分嬉しかった。
「…何でかばうの?そいつの事そんなに知らないでしょ?ていうか、そいつに守る程の価値ないよ?」
そう冷たく隼人に問うのは元親友の久美だ。
「…たしかにそうかもしれねぇよ。でもな…お前らみたいな奴らに楓の価値決める権利なんてねぇんだよ!!」
隼人は大勢の相手に怯むことなく、そう言い放った。




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