番外編〜楓〜前編


[07]絶望


そのまま昼休みまでは何事もなく過ぎた。
昼休み、和佳や久美達が私の周りを取り囲む。
「今日の朝さーお前もっと上手く言い訳しろよな!」
和佳が私に向かってそんな罵声を浴びせる。
私は聞こえない振りを決めて、その場から立ち去ろうとした。
「は?待てよ。」
腕を掴まれて引き戻される。
「…何?」
低姿勢に出たら精神的にも負けると判断して、目一杯強がる。
「ふざけんなお前。」
後ろから背中を蹴られて痛みが襲ってくる。
その瞬間、私の中に溜まっていた何かが溢れそうになった。
「私は何もしてないじゃない!何なの?イジメなんてして楽しい訳?私が嫌いなら無視してたら良いでしょ!」
私の目から涙が溢れてくる。
たしかにイジメが始まってまだ2日目だけど…昨日1日が辛すぎて、親友に裏切られたショックなどは私の中で癒えない傷になっていた。
「…ははは!」
その瞬間、周りの皆は笑い始めた。
「マジで気持ち悪いんですけど!」
「何泣いてんの?」
心ない言葉が次々と返ってくる。
私は絶望の淵に叩き落とされた…。




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