番外編〜楓〜前編


[04]痛み


「ここなら誰も来ないよね。」
そんな話をしながら久美達が私を連れて来たのは校舎の裏で、確かに人がほとんど通らない所だった。
「何…する気?」
始めのような強気な自分はもう何処にもいなくて、ただ恐怖が募る。
「何する気?そんなの教える訳ないでしょ?」
にこっと意地悪く微笑むと、中心人物の和佳が私の腕を強く握る。
「痛っ…!」
痛みに顔をしかめたその瞬間、周りの女子全員に蹴られた。
「マジでうざいんだよね、あんた。」
「消えな。」
そんな言葉ばかり浴びせてくる。
「ゴホッ…つぅ…。」
痛みに咳き込む。周りの奴らはその様子を見てクスクス笑っていた。
「じゃあねー。」
「また明日会おうね。」
そんな事を口々に言いながら皆帰って行った。
それを確認して、ゆっくりと起き上がる。
「痛…。」
泣きそうになるのを堪えてゆっくりと歩き出す。
鞄を取って、下駄箱に向かう。
「あ…れ?靴が無い…もしかして…。」
これもイジメの一環か…と諦めて、体育館シューズを履いて帰る。
「明日から…学校行きたくないな…。」
そんな事を呟きながら。




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