番外編〜楓〜前編


[03]魔の放課後


周りからは相変わらず笑い声が絶えないで、私はそこから一歩も動けなかった。
「楓、邪魔。」
久美にかなり冷たい口調で押し退けられて、放心状態で静かに席に着いた。
「…え?」
我にかえってみると机の中の教科書に落書きがしてあるのに気付いた。
「バカ」「消えろ」「死ね」…そんな心ない言葉が無造作に書き散らしてある。
こんな事って本当にあるんだ…と大きなショックを受ける。
そんな自分を見て周りのクラスメイトは鼻で笑っていた。
「松岡、どうした?」
何も知らない先生は私に事情を聞いてくる。
「いえ…何でもないです…教科書を忘れてしまいまして。」
私がそう言うと先生は「そうか、しょうがないな」と教科書を貸してくれた。
「あ…ありがとうございます。」
綺麗な教科書を見ると、さっきの自分の教科書を思い出して心が痛む。
冷静にならないと泣いてしまいそうで、さっきの事を何とか忘れようと自分の心に言い聞かせた。

放課後になって、早く教室から去りたくてすぐに出ようとすると、
「待ちなさいよ。」
と4人の女子に呼び止められた。
その中には、あの水をかけてきた女子も久美もいた。
「…何?」
「ただで返すわけ無いでしょ?」
魔の放課後が始まる…。



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