番外編〜楓〜前編


[12]言葉


最近、テレビなどで話題になっている隕石の墜落…。
どうやら海に落ちるだけらしいが、ここに落ちてきたら…。
皆消えてしまえば良いのに。
私はニュースを見る度にそんな事を思う様になっていた。
「すいません…こんな事ばっかり言って。…どうして自分はこんな目に遭ってるんだろうって…毎日想うんです。」
私の突然の涙に驚く太陽さんを鏡越しに見つめながら話す。
「…辛いのは分かるよ。でも…楓が居なくなって悲しむ人もいると思うな。」
そんな私に太陽さんは優しい声で話しかける。
「いないですよ…両親も先生も気付かない振りばっかりして。私の事なんてかまってる暇無いんですよ…。だから…私が死んでも何も残らない。」
知らん顔ばかりする両親に先生。そしてクラスの皆…。
誰1人、私を守ってくれる人はいない。
「きっと…そんな事は無いよ。…俺は由紀子が居なくなった時、辛かったし、悲しかった。人が死ねば…必ず悲しむ人がいるはずだよ。」
太陽さんは私の髪を切りながらそう言った。
何気ない一言かもしれない。
でも、今の私にこれ以上嬉しい言葉はなかった。
「じゃあっ…!私が死んだら…太陽さんは悲しんでくれますか?」
私は涙を拭いながら太陽さんに尋ねた。




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