番外編〜楓〜前編


[13]勇気


「…悲しむだろうね。きっと…俺1人じゃないはずだ。」
太陽さんがそう言い終わったとほぼ同時に、カットも終わった。
「…ほら、出来たよ。」
「ありがとうございます…。」
私は太陽さんにお礼を言った。
もちろん髪の事と…太陽さんの言葉の両方に。
「…私…生きます。勇気を出して両親にも話してみます。だから…また来ても良いですか?」
私は決めた。
「生きる」って…。
「もちろん。待ってるよ!」
そんな私を太陽さんは笑顔で見送ってくれた。

私が死んでも誰も悲しまないし、何も残らないんだろうな…そう思っていた。
まさか…それがたった1人の、たった一言で変わるなんて思っても見なかった。
「…よし!」
私は空を見上げながら自分に勇気をチャージする。
まずは、両親にちゃんと話してみよう。
私の中で何かが変わっていっていた。




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