それから


[03]それから3日


相変わらず俺は宙に浮いたままで、昨日までと同じ状態を保っている。
「はぁ…。」
またため息を吐いてしまう。
すると、バタバタと廊下を走る足音が聞こえた。
「太陽さん!!」
楓だ…。楓が慌てて部屋に駆け込んできた。
「太陽さん…っ…私、太陽さんに報告しなきゃいけない事があるんです…。」
楓は息を整えると、喋りだした。
「両親に…伝えれたんですよ、イジメられてる事。それに…負けない様に頑張ったらっ…親友できて…イジメも無くなってきたんですよっ…!?全部…太陽さんのおかげなんです。」
楓は大粒の涙を流しながらそう言った。
「楓…。」
楓が俺に伝えたい事ってこれだったんだ…。
「そうか…良かったな。」
そう言ってあげられたらどんなに良かっただろう。
今の俺にはどうする事も出来やしない…。
人を泣かせるばかりで…笑わせてあげられなくて…これで本当に
「大切な人を守れた」
と言えるのだろうか。
「約束…守れてないじゃんか、俺…。」
裕太とも、楓とも約束したのに…早く帰って来るからって。
2人にこんなに辛い思いさせて…。
その時…
ピ――…
「…え?」
「太陽さん!」
「お父さん!」
皆が部屋の中に入って来る。
この音は…そうだ、命の終わる音だ。
医者がやって来て懸命に心臓マッサージを始める。
俺は…死んだのか…?

そう思った瞬間、目の前が真っ暗になった。



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