それから


[02]それから2日


次の日が来ても、俺の置かれている状況は全く変わらなかった。
何度も何度も自分の体に入ろうとしても…無駄だった。
「裕太君…やっと眠った様です。」
そう俺の両親に話すスイの表情も心なしか暗い。
「…お2人も休まれたらどうですか?私が見てますので…。」
スイのそんな言葉に促されて、両親も部屋から出て行った。
部屋へ残されたのはスイと目を開けない俺。
「…昨日は大変でしたよ…裕太君も太陽さんの両親もカイとメイも泣いてばかりで…皆太陽さんの側を離れようとしなかった。」
スイがいつもの落ち着いた口調でそう言う。
「それは俺も痛いほど分かってるよ…。」
スイには聞こえないが、答えた。
「…太陽さんが色んな人に愛され、慕われているのがよく分かりました。…私もそうですよ。」
その時、スイの目から滴が一滴零れた。
「太陽さんなら…きっと目を覚ますと信じてますよ…。」
スイが泣いている…いつも冷静なスイが。
初めて見る涙だった。
「…何だよ俺…色んな人の事泣かせてばっかりじゃんかよ…。」
泣きたくとも涙なんて出るわけがない。
悔しい…自分が情けなくて情けなくて…。
「…戻りたい…自分の体に…。」
そう呟いてみても俺の声は俺にしか聞こえず、部屋にも響かない。




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