それから


[01]それから1日


あれからどれだけの時間が経ったのだろう…。
何か聞いた事のある音が聞こえる。
ピッ…ピッ…
そうだ…これは由紀子が亡くなる前のあの時鳴っていた…。
目が覚めたのか…?
俺の頭上には白い天井がある。
「お父さんっ!」
裕太が部屋に駆け込んでくる。
「裕太…大丈夫だよ。」
俺がそう言っているのに、ここに来た裕太と俺の両親は泣いている。
…どういう事なんだ?
冷静になってみると…俺の体がまだ浮いている様な気がする。
…それもそのはずだった。
俺の真下で俺が眠っている。
「そんなっ…!」
幸い心臓はまだ止まっていないらしいが、これはもしかして…
「幽体離脱か…。」
そう呟いてみても誰にも俺の声など聞こえない。
「…すいません…きっと太陽さんは目を覚ましてくれるはずですから…。」
「えぇ…信じて待ちましょう。」
メイとおふくろの会話が聞こえた。
2人とも目に涙を浮かべている…。
「っ…嘘だろ…!」
何度も何度も自分の体の方へ降りようとするが、体が俺を受け付けてくれない。
「…僕いい子にして待ってたよ…だから…起きてよ!お父さん!」
そう俺の脇で泣きじゃくる裕太を抱きしめる事も出来ない…。




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