鋼の錬金術師《長編》


[08]太陽と月*F





「今までのは、遊びだった、のか・・・?」











「遊びってほど遊んでもないデショ?」




どちらかといえば
付き合わされたのは
俺のほうだしね、

と冷笑する。






「お、前っ・・・・サイッテーだっ!!」





カッとなったロイは
すぐさまベッドから降り、

俺に何かを投げ付け、
そのまま乱暴に
部屋を出ていった。




「っ痛ぇ・・・んだ、これ?」




ベッドの脇に
落ちてしまったそれを

動かない体を
必死に動かして拾いあげた。





何かキーホルダーのようだ。




埃を払う。


「これ・・・」





小さな人形であった。




俺は、知っている。


これが何であるかを。







ロイが持っていたものと
酷似していたから。


ある民族のお守り。




色が違うから、
何に対するお守りかは
わからないが。









『ん?あぁ。昔、貰ったものでね。大切なんだ』










俺が聞くと、
決まって笑っていた。





だが、
俺はその後、
決まって寂しそうな
表情もするのを
見逃さなかった。





あの人、
なんでこんなもんを・・・




手の中の


太い糸で作られた
人形を見つめる。




また、
泣かせちまったな・・・




蒼白になった顔が

脳裏に焼き付いて

離れない。




《コンコン・・・》







今度は誰だ・・・?







俺の返事を待たずに、
ガチャリと

ドアノブが回される。





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