鋼の錬金術師《長編》


[07]太陽と月*E




「・・・帰って下さい。また中尉に怒られちまう」




受け入れられたと思い、
安堵の表情を浮かべる彼を

俺は切り捨てる。




一瞬、言葉を
理解できなかったように、
ロイが奇妙な顔をする。







「ジャン・・・?」





俺は


その顔を見ないように、
努力した。








「聞こえなかったっスか?仕事に戻ってください」










冷たく、
言葉を放つ。






・・・俺が、


あんたを
ダメな上司に
しているのであれば。


あんたが俺を
置いていけないと
いうのであれば。



俺が、

俺自信が、
あんたから離れるしか
ないだろう・・・?








窓の外を眺める。





赤い、
日暮れの太陽が、



もう少しですべて
海に溶け込みそうだった。





「・・・な、なんで・・」







ロイの顔から
色がどんどん消えていく。


元々色白な肌が、
ますます透明に。






「はぁ・・・まだわかんないんスか?」





俺はロイの胸倉を掴み、

引き寄せ、
触れる程度のキスをする。



そしてそのまま
耳元に顔を近付け、

囁くように口を開く。







「もう、あんたに飽きたんだ。今まで付き合ってやっただけ、ありがたいと思えよ」












それだけいうと、
ロイを離し、

冷たく笑う。









「いつまで乗ってるつもりスか?」











唖然とした表情を
浮かべるロイの顔に
紅が刺す。






それは、
絶望という感情が怒りへ

変換された事を
容易に伝えてくれた。







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