鋼の錬金術師《長編》


[10]太陽と月*H





「・・・ぃ」



「えっ?」









「うるさいっていってんだよ、ブス」


「なっ・・・!」


「あんた俺に気があんだろ?残念、俺にはさっき出ていった上司の方が可愛くみえるね」










看護婦は
その場に硬直していたが、
すぐに顔を真っ赤にして
出ていった。




ふん、
厚化粧のババアが・・・




いい気味だと鼻を鳴らす。






「っ・・・」








腹がひどく痛む。


焦げた腹が、
何か不満を

唱えているようだった。




わかってるよ・・・。
あの人はもう来ない。
俺が傷付けたんだ。


だって、
そうでもしないと、

あの人は
自分の目的を為すことが
できないだろう・・・?




そう、これで良かったんだ。






自分に言い聞かせる。





あの人の物は
全部捨ててしまおう。










そうだ、
病院も、
セントラルから
イーストシティに移そう。






その方が
母ちゃんも楽だろうし、
あの人だって、
きっとすぐに・・・










忘れられるだろうか。









こんな時に限って
楽しかった
想い出ばかり
浮かびやがる。






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