第6章


[05] 


「もちろん諦めなどしない。ただ…今は無理だ」

『強くなれ』と、“あの”ポケモンは言った。
だが、どうすれば強くなれるのか…全く見当がつかずにいた。

「だって…そんな悠長な事言ってる場合じゃないわ!早く…」
「だから、今は無理だと言ってるだろう!」
思わず怒鳴ると、ミミロップは怒ったように長い眉毛を逆立てた。
「……いいわよ!もうピカチュウなんか頼りにしない!私だけでも助けに行くから!」
「そんな!無茶です、ミミロップさん!」
「無茶でもやらなきゃいけないじゃない!
 シンオウの神が、人間にいいようにされるなんて…私、耐えられない!」
ミミロップは拳を固めて立ち上がり、俺の方を向く。

「…さよなら、ピカチュウ……私……ずっと、あなたが……」
最後まで言わず…ミミロップは背を向けると、まさに脱兎の如く駆け出した。

「ミミロップさん!」
「ミミロップ〜!」
「ピカチュウ殿!追わぬのですか?!」

「………好きにしろ」
俺には、それしか言えなかった。

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