第43章


[09]


 子ニューラと連れ去られたチビ助の後を追って、あっしらは入り組んだ古都の路地を
人目を忍んで進んでいった。まったく、あのクソガキときたら、ガキとは思えねえような
足の速さと身のこなしで、振り切られないようにどうにかついていくのがやっとだ。
まだガキのニューラでもこんな調子なんだから、ロケット団員どもがニューラ達に
苦汁を嘗めさせられ続けているのも無理はねえと身をもって思い知らされていた。
 北東の町外れ、スズの塔へと続く道に立ち塞がる様に建つ立派な門構えをした関所が
見えてくると、子ニューラは半ば引き摺るように連れていたチビ助をどっこいしょと担ぎ上げる。
そのまま子ニューラは、関所とそれを見学に来ている観光客らしき人間達の目を避けて
傍にある池の方へと駆けていき、水面から点々と突き出た岩の上をひょいひょいと軽快に
スリルを楽しむように飛び移って対岸に渡っていった。風情を醸し出す彩りとなると共に、
侵入を防ぐ堀の代わりにもなっているであろうあの池も、あのガキの前じゃまるで形無しの、
アスレチック遊具みてえなあしらわれ方だ。何ともいえない哀れみのようなものを感じながら、
あっしはその上を飛んで行き、少し遅れてマフラー野郎とニャルマーは岩を飛び移って渡って来る。
途中、観光客らしき親子連れのガキ――体格からして四、五歳ってところか――に運悪く姿を
見られてしまうが、親へと知らされてしまう前にあっしらは素早く林の中へと入っていった。
 林の奥に進んでいると、すぐに石畳が敷かれた小道に突き当たり、子ニューラはその真ん中辺りで
傍らにへとへとになって放心しているチビ助を降ろしてあっしらを待ち構えていた。


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