第43章


[04]


「ありゃりゃ」
「おいおい、止めなくていいのかよ」
 慌てるでもなく呑気に眺めているマフラー野郎に、あっしはそっと声がける。
チビ助は強情に泣くのを堪えながらも、うるうると涙を滲ませた視線でマフラー野郎に助けを求めた。
「はっは、良かったなピチュー。遊んでくれる友達が出来て」
 朗らかに笑ってマフラー野郎は言ってのける。すっとぼけた態度に思わずあっしはずっこけそうになり、
チビ助は愕然とした表情をしてぶるぶると首を横に振るう。
「そうだ、折角背中を降りたんだし、いい機会だ。君ももう少し一人歩き出来るようにならないとな」
 思い出したようにポンと手を打ってマフラー野郎は言った。ぎくりとした様子でチビ助は目を背ける。
「トキワの同い年くらいの子達は、少しくらいお父さんお母さんと離れてももう平気だったろう? まだまだ
ずぅっと先の話でも、君もいつかは俺の背中から離れなきゃいけない時がくるんだ。今の内から練習だよ」
 ビッと指を立ててマフラー野郎はチビ助に言い聞かせる。むー、とチビ助は不服そうに唸って膨れ、
上の子ニューラは興味深そうに耳をぴくんと揺らした。
「えー、オマエ、ずっと親父におぶわれてないとダメなの? ひゃは、ダッセー!
 よーし、んじゃ、オレさまがトクベツに鍛えてやるとするか。ついてこーい!」
 子ニューラは、ぱっとチビ助の左耳から口を離して言うと、今度はチビ助の腕を掴んで
強引にずるずると引っ張り歩かせる。チビ助はがっくりと脱力した様子で為すがまま連れて行かれた。


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