第42章


[09] 


 驚く俺達にやや強気になったものか、男は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
 どうやら、一度結び付いてしまった因縁は、容易には消えぬものらしい。
 確かに、ポケモンを商品としてしか見ていない奴らなら、このような非道な所業も平気でやり兼ねん。
 忌まわしきグレンタウンの屋敷、ハナダの洞窟での一件、不自然なリニアの停止……
 道々感じてはきていたが、奴らはしぶとく生き残り、再起を目論んでいたのであろう。
――俺は一抹の不安を感じて振り返り、口を噤んだままのデルビルを窺う。
 ここに至っては、もう勿体付ける必要もあるまい。
 十中八九、こやつ――デルビルの正体は、この男同様、ロケット団の残党であろう、と俺は睨んでいる。
 そんな奴が仲間の所業を聞き、一体どんな反応を示すのか。
 急に媚びへつらう態度に出るか、はたまた、現在の姿を恥じて怯えるだけか。

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