第42章


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「……き、聞いてねえぞ、そんな計画……何しろ、まだ……――様は……」
 だが、俺の予想に反し、奴は驚きと焦りの入り混じったような顔で、何やらブツブツと呟いている。
 その様子に不可解なものを感じながら、俺は木の幹を叩いて奴に注意を促す。
 ようやくデルビルはハッと我に帰り、気を取り直したように言葉を続けた。
「そ、そうか……だったら道理ってもんだぜ……首謀者は誰だ? 一体、誰がお前らに命令している?」
「ヒワダで指揮を取ってるのは、幹部のランス様だ。まだ若いが、かなりの切れ者だぜ」
「……ランス?」
 ふとデルビルは耳をピクリと蠢かし、眉間に皺を寄せた。その表情が、何故か次第に強張っていく。
「奴が……幹部? あの気障ったらしい若造が幹部だとぉ?! てめえ、今そう言ったのか?!」
 怜悧な態度から一変、急に噛み付かんばかりに語彙を強めた相手に対し、男はビクッと体を竦めた。


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