第42章


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「そういえばこのピカチュウってやつ、あのレッドも使っていたポケモンじゃないか?
うん、たぶん前にテレビの試合で見たことある。かっこいいリザードンとかカメックスが活躍する場面しか
しっかり見てなかったからあんまり覚えてないけど、確かこんな小さくて黄色いネズミも時々出てきてたな。
ってことは、こいつに勝てれば、レッドに少し近づけるかも!」
 急にやる気を取り戻した様子で、黄帽子は目を輝かせる。
 こいつ、レッドのことを知っているのか? 呆気に取られかけて、すぐに思い直す。いや、それも当然か。
レッドはポケモンリーグのチャンピオン、トレーナー達の頂点だ。寧ろ人間達の方がよくその名は知っているだろう。
「となれば先手必勝! 火の粉だ、ヒノアラシ!」
『おうッ!』
 黄色帽子の指示にヒノアラシは威勢よく応じ、口から散弾銃のようにはじける炎を吐き出す。
 どうやらこいつはレッドに憧れを抱いている様だ。となれば、尚更こいつには思い知らせてやらねばなるまい。
 迫る火の弾丸を、俺は帯電させたマントを翻して軽々と弾いた。
『お前達など、強さも、志も、レッドには遠く及ばん!』

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