第42章


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 非道なロケット団員であったデルビルのポケモンとの関係に対する考えは極端なものであろうが、
他の大半の人間も我らを常にボールの外に出したままにすることは多少の抵抗や不安があるはずだ。
余程の実力あるトレーナーか――例えばレッドのように――長年連れ添ってきた等で強い主従や信頼関係にあるか、
あるいは、我らの持つ力の恐ろしさを知らぬ痴れ者でなければそう易々と真似は出来まい。
 この黄色帽子は果たしてどちらか?
「どうしたどうした、早くかかってこいよ。なんなら全員まとめてかかってきてもいいぞ」
 自信満々に踏ん反り返り、黄色帽子は挑発する。ヒノアラシも真似をしてどんと胸を張った。
 ……まず間違いなく、こいつは後者だな。相手の力量も測れないとんだ初心者といえる。
『どうする? お望み通り全員で遊んだげる?』
 拳を鳴らしながらミミロップは尋ねる。
『いや、俺だけで充分だ。たかがバッジの一つでチャンピオンにでもなったような気でいる小僧に、
身の程というものを存分に教え込んでやろう』
 電流を迸らせながら、俺は一歩踏み出す。
「なんだよ、戦うのは一番弱っちそうなお前だけかー。……ん?」
 がっかりしたように言った後、黄帽子は唐突に何かを思い出したようにまじまじと俺の姿を見やった。


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