第42章


[14] 


 入り口から洞窟内を覗き込むと、松明でも灯されているのかぼんやりとした暖かい光が明暗していた。
道はすぐ左に折れ曲がっており、その先がどうなっているかは、実際に足を踏み入れて見なければ分からない。
この先、それなりの人間の往来はあるだろうが尻込みしてはいられない。もたもたここで立ち止まっていたら、
いつ傍にあるポケモンセンターから人間が出てくるか分かったもんじゃあない。
 早々に俺達は先を目指そうと、内部へと足を踏み入れたその時だった。
「いっけねー、やっぱり忘れてきちまったみたいだ。一旦、ポケセンに戻ろーぜ、ヒノアラシ!」
 慌てた様子の声と共に、どたばたと左から人影がいきなり俺たちの目の前へと飛び出してきた。
『な……!』
「おっ!?」
 あまりの唐突さに避ける間もなく、ばったりと俺達は出くわしてしまう。それは、例の残党の男に
尻尾を売りつけられそうになっていたあの黄色帽子の男児だった。
 突然の遭遇に思わず驚き竦む俺達を尻目に、黄色帽子は赤い手帳状の機械を取り出し、
こちらに向けながら呑気にかちゃかちゃと操作し始める。

[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.