第41章


[06] 


 スピアー達の包囲を潜り抜け、鉄橋を飛び降りて森へと降り立ち、俺達はコピーの向かった先に向かう。
背後からは無数の薄羽が空気をけたたましく揺らす音が怒涛の如く迫ってきていた。
だが、奴らの動きは森の不規則に並ぶ木々の枝と葉に視界と飛行を阻害され、何も障害物の無かった鉄橋の上に比べずっと鈍っている。時折、木々の合間を巧みにすり抜けて群れを先行して襲ってくる奴らは、マニューラと俺とで着実に各個撃破し、行く手に回り込まれぬように食い止めた。

 やがて、聞こえてくる羽の音と数は遠のいて減っていき、木々の密度が徐々に疎らになって、辺りにごつごつとした岩肌が目立ち始めたところで、どうにかスピアー達を振り切ることはできたようだ。
しかし、ここまでの道中で、コピーの姿は微塵も見ることはかなわなかった。
 おそろしく逃げ足が速いのか、あるいはどこかに隠れていたのを見逃したのか――
「一応、地面に微かに残るあいつの波動の痕跡を辿って来たから、途中で潜んでいたとしても見逃すことは無いけれど……それもここまでみたい。まるで跡形も無く消えたか、空でも飛んで行っちゃったみたいに、ここでぱったりと途切れてるわ」
 急いでいた足を緩めて止まり、口惜しそうにミミロップは足元の石ころを蹴飛ばした。
 大方、飛ぶことが出来る仲間と合流し、共に空に逃れたというところだろう。何にせよ、まんまと逃げおおせられてしまったわけだ。気抜けと疲労感が合わさり、深い溜め息が体の底から漏れ出した。


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