第41章


[07] 



「それにしても、どうして奴は僕達を待ち伏せることができたのでしょうか。カントーからジョウトへ来る手段は数少なく限られているようですから、どこから現れるか場所の目星は大体付けられるでしょうけど、少なくとも近い内に必ず僕達がジョウトに来るという確証がないとあんな風に待ってなんていられませんよね。
何か他の用事もつまっているようでしたし」
 ロズレイドの言う通り、確かに偶然にしては出来すぎている。奴の口ぶりも、俺達が来ることを完全に把握していたかのようだった。

 ――俺達、またはカントー配下達の中に誰か、内通者がいるというのか。あまり考えたくは無いことだが、疑念を拭い去ることも出来ない。思い当たる疑わしい節を頭の中で巡らせて、俺はマニューラを見やった。
最も疑わしいのはこいつだ。未だ目的をはっきりとせず濁し続けたまま、俺達の後を付き纏うような行動など、逐一怪しい動きが目立つ。
「なんだ、その目。まさかオレが奴らにチクッたとでも言いてーのかよ?」
 視線に気付いたのか、不機嫌そうにマニューラは睨み返してくる。俺は頷きも答えもせず、マニューラと睨み合う。
「へっ、バーカ。オレが、んなまどろっこしい真似をするわけねーだろ。オメーみてーな油断の固まり、始末したきゃとっくに直接手を下してるっての」
 マニューラは鼻で笑って言った。
「そ、そうですよ。それに、マニューラさんがミュウツー達のことを知ったのはつい最近なんですから、通じるような暇も理由もないじゃありませんか」
 当の本人よりも必死な様子でロズレイドが弁明に加わる。

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