第41章


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「誰かに攫われたり始末されたのかもしれない、ってこと? だけどそのヤドンってポケモンが
ピカチュウの言ってるように人畜無害なのなら、わざわざそんなひどいことする理由がわからないけど」
 ミミロップは顎に手をやり小さく首を傾げる。
「へっ、無知だねえ。奴らの尻尾は珍味で、そこそこの値段で売れるのさ。切ってもまたその内
トカゲみてえに生えてきやがるから、大量に捕らえておけば大儲けってワケだ」
 得意げにデルビルは答えた。
「ほお、やけに事細かではないか。まるで目の前で見ていたかのようだな」
 俺はじとりとデルビルに視線をやり、わざとらしくトゲを持たせた調子で言った。
 案の定、デルビルはぎくりとしたようにびくつき、顔を強張らせる。
「い、いや、一時期そんな風な密漁が問題になって、ニュース番組で取り上げられてるのを見たんだよ」
 誤魔化すようにデルビルは苦笑いした。
「今回のヤドンの失踪もそれが原因だと思うか?」
 あまりにあからさまな態度と嘘に、思わず鼻で笑い飛ばしそうになるのを内心に留めて、俺は訊いてみる。
「その可能性は高いだろうなあ。奴らの使い道なんて、思いつく限りじゃそれぐらいだ」

「ひどいや、そんなの……」
 アブソルは悲しそうに俯き、足を微かに震わせて呟いた。
「ねえ、ピカチュウ、ヤドン達がいなくなったのが本当に悪い奴らに捕まっているせいなら、
助けに行ってあげることはできないかな? ずっと尻尾を切られ続けるなんて、あんまりにかわいそうだよ」
 顔を上げ、アブソルは潤む目で俺を見つめて言った。
「けっ、俺達にゃ今、フーディンと化物共の行方を追うっていう、ピンクのマヌケ顔の救出なんかよりも
優先しなきゃいけないことがあんだろうが。ガキの偽善になんて付き合ってる暇はねえ、だろ?」
 デルビルは嘲笑し、同意を求めるように俺を見やった。
「……確かに、最も優先するべきはミュウツー達の追跡だ――」
「ピカチュウ……?」
 ショックを受けた様子で、アブソルは今にも泣き出しそうに表情を歪める。

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