第41章


[28]


「……まあ、いい。ところで、一体何故お前がここに? ペルシアンはシロガネ山を越えるのは危険だと、
鳥達を送るのには難色を示していたはずだが」
「おう、怪しい情報を見つけたらすぐさま届けて、さぽぉとするようにと旦那方にゃ仰せ付かっててよ。
鈍り切った最近の軟弱な鳥共ならいざ知らず、おれっちは白亜の韋駄天……いや、ジュラの韋駄天だったっけなあ?
 それとも、三畳……? まぁいいや、とにかくそんな感じの韋駄天の異名で、大昔は大空をぶいぶい言わせてたんでぇ。
今でも鋼に包まれたウスノロ共の翼なんざすいすい擦り抜けて、ぶっちぎりよォ!」
 鼻高々と言った様子でプテラは答える。韋駄天だのジュラだの何だかよくわからないが、
とにかく速さを象徴するらしい異名を自信満々に名乗れるだけの相応の実力は確かに兼ね備えているようだ。
「ふむ。それで、その怪しい情報とやらは見つけてきたのか?」
「おうおう、それなんだがよォ……んん? ところで、薔薇のにぃちゃんと黒猫さんはどこに行っちまったんだ?」
 俺達をぐるりと見回し、プテラは首を傾げた。
「ああ、奴らなら――」
 俺はプテラに事情を話す。
「ははあ、あの黒猫さん、中々のとらぶるめぇかぁってやつのようで。こりゃ好都合――ってな感じでしょうなぁ、
敵さんにとっちゃ」
「まったく、その通りだよ。困ったものだ」
 ふん、と俺は鼻を鳴らす。
「まるで人事みたいに言ってるけど、ピカチュウ、あんたにも責任があるんだからね」
「……して、プテラ。本題へと戻ろう。何か手がかりになりそうな情報を見つけたのではないのか?」
 釘がたっぷり付いた横槍をかわし、俺はプテラに尋ねる。

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