第40章


[39]


いくら弱みを握られ、師弟関係を結んだとはいえ、身分的にはロズレイドの方が上なのだ。
このような様では、他の配下共に示しが付かないではないか……などと考えていると、
「ふ〜ん……そっか、そういう事……ふ〜ん、ふふふっ」
ロズレイドとマニューラを交互に見ながら、ミミロップが不穏な含み笑いを浮かべている。
「? どうした? 何がおかしい?」
「ううん、何でもな〜い。あ〜、でもこれじゃ、確かにドンが反対する訳よね」
「?? ……意味が分からん」
「い〜のい〜の、どーせ分からないでしょ。相変わらずニブチンなんだから」
「?! だから、それはどういう意m……」
「あ、あー……! 私も眠くなっちゃった。お、おっやすみ〜!」
俺が睨みを効かせるとミミロップは慌てて飛び退き、大きな耳で体を包みながら横になった。
全く、どいつもこいつも……
どうも、俺だけが取り残されているようで居心地が悪い。
だが、目の前に広がる広大な景色、頬袋を撫でる潮風は実に心地良い。
思えば、以前カントーに向かった時は、妙な機械の中に入らされるハメになっていた上、
ダークライの妨害に遭ったせいで、こんな風に海の旅を楽しむ余裕などなかった。
ロズレイドの草笛の音はまだ続いている。
俺も横になり、大海原に沈んでいく夕陽と共に目を閉じた。

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