第40章


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「野暮用? カントーに一体どんな用事がある?」
「そう言えば……マニューラさんは元々シンオウのポケモンではない、と言っていましたね?
 もしかして、カントーの出身なんですか?」
俺の問い掛けに、ロズレイドが口を挟む。
「そうなのか?」
そのような話は、俺にとって初耳だった。
「チッ……テメー、つまんねー事覚えてんな……」
ジロリと横目でロズレイドを睨みながら、マニューラは吐き捨てるように答えた。
「だが残念だな。そりゃハズレだ。カントーなんてとこは、見た事も行った事も食った事もありゃしねー」
「ならば、何故そこまでして行く必要があるのだ?」
「マニューラ、カントーにともだちいるの〜?」
ムウマージの何気ない言葉に、マニューラはハッとしたように目を見開く。
どうやら図星か。
「……ヘッ、トモダチとか、そんな御大層なモンじゃねーが……ま、近くとも遠からずだな」
「そうか。居場所は分かっているのか?」
「さーねえ……なんせ、もーかなり昔の話だ。とっくにくたばってんじゃねーかと思うぜ」
マニューラは俺達から目を反らし、決まりが悪そうにバリバリと前髪を掻く。
昔の知り合いに会いに行く……ただそれだけの事で、ドンカラスが猛反対するとは到底思えない。
他にも理由がある事は、まず間違いないと見ていいだろう。
だが、マニューラが全くの嘘を吐いている、といった風には見えなかった。

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