第40章


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「ま、ご覧の通りボスやあの姐さん方を責めたり非難したりする奴も特にいねえみたいなんで、この件に関しちゃこれでもう互いに後腐れ無しってことでいいですかい?」
「ああ。ずっと黙っていたことは悪かった」
「へ、もう言いっこなしでさあ。さて、折角シンオウ各地の主要な面子のほとんどが集ってんだ、何か他に仰せ付けることがありゃ今のうちに頼みやすぜ。宴会でも開くか、滅多なことがねえ限り、あっしが召集してもこいつらろくに集まりゃしねえもんで」
 すぐにでもカントーへ再びの出立の準備をせねばなるまい。
まずは、シンオウの配下達にもミュウツーの脅威を伝えておく必要もあるだろう。

「カントーに現れた新たな脅威について聞いているか」
「ミミロップさん方から少し聞き及んでいやす。何でも、ミュウツーとか言うえげつねえ奴と、ボス達に丸っきりそっくりな奴らだったとか。でも、洞窟が崩れて生き埋めになっちまったんでしょう?」
「うむ、そのはずだった。だが、どうやら奴らは――」
 言い終えぬ内に、洋館の外からヤミカラス達の騒ぎ立てる声が響く。
直後に轟く、鳥とも獣ともつかない甲高い雄叫び。強引に扉を蹴破るような音。
「何だお前は、と、止まれ!」
「うるせえうるせえ、雑魚に構ってる暇は無いんでえ!おれっちはとっても急いでんだぁ!」
 食堂の外から見張りのヤミカラス達と、何者かが取っ組み合う音が聞こえてくる。
俺達は油断無く身構え、来たる襲撃者らしき音に備えた。身に纏わりつくヤミカラス達を物ともせず、
食堂に飛び込んできたその姿は、体を石のような灰色の皮膚に覆われた翼竜――。
「ぷ、プテラ……?」
 声を掛けると、翼竜はくるりと俺に振り向く。
「おお、おお!やっと会えたぜ電気ネズミの旦那ァッ!」

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