第39章


[03] 


元々はギンガ団の手持ちであり、人間の身勝手によって多くの仲間を失った上、自身も酷使の末に処分させられそうになっていた彼らである。明るく言い放ってはいるが、その言葉には底知れぬ深い重みがあった。思わず感慨深くなり、ドンカラスとエンペルトはただ黙然とボトルの水を啜る。

「……できりゃあ……こんなしんみりした時にゃ、もっと別の水分が欲しいところでやすが……」
「まあ待ちな。もうちょっとすりゃ、見回りに行ってるドクロッグが戻ってくるからよ。
 奴の事だ、デパートの裏手から上等な酒の一本や二本はくすねてくるに違いねえ」
「じょ、上等の?!ホントでやんすか?!クアアア!クチバシが濡れてくるぜえ!」
普段は安酒に甘んじているドンカラスが感慨もふっ飛ばして舞い上がるのを尻目に、
『生きてさえいれば、また逢える……か』
ポッタイシの気の強い、だが、どこか寂しげな眼差しを思い出しながら……
エンペルトはその言葉を胸に刻み付けていた。

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