第39章


[19] 


大地が割れそうな程の絶叫を上げ、乳白色の巨躯が苦痛に身悶える。
その間にも剣だった影は鋭い先端で、西洋甲冑を髣髴とさせる外殻の隙間を狙い刺し、手足から体に向かって縫い進んで行った。幾らもがこうとも侵攻は止まらず、抵抗も鈍っていき、じわじわと身体の自由は奪われているようだ。

 パルキアは低く唸りながら、憤怒と憎悪の目をこちらに向ける。
身体を蝕まれる痛み以上に、虫けら以下と思っていたであろう相手の反撃を受け、更に屈しかけていることが、何よりの屈辱であり苦痛であるようだった。
最後の抵抗とばかりにパルキアは喉を振り絞り、呼応して両肩の宝石が淡く瞬く。
またあの光を放つつもりか。用心して俺は身構える。
だが、その瞬間を見計らっていたかのように影は甲殻の間から飛び出し、宝石を瞬時に刺し貫いて潜り込んでいった。


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