第39章


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 出し渋らせられていたが、今こそあれを使うべきところなのではないのか。
『早まるでない。もっとこちらへと引き付けよ』
 この期に及んで、一体何を企んでいる?
 焦燥に駆られる間にもパルキアは着実に迫ってきている。
流石に自分の居城の土台を傷つけるのは良しとしないのか空間の切断を放ってこないのは幸いだが、直接引っ掻くことが出来る距離に来られては何の意味も無い。
俺はじりじりと後ずさっていくが、すぐに背が岩壁に突き当たった。
再びパルキアは吼え、爪を振り上げ一気に日陰へと踏み込んでくる。
『投げ放て』
 ギラティナが言うと、腕輪からするりと一筋の影が蛇のように抜け出し、手中で剣の形となった。
俺は裂帛の気合と共に思い切り力を込めて剣をパルキアに投げつける。
パルキアは片手で弾き落とそうとするが寸前で剣は紐がほどけるように分かれ、何本もの黒い触手となってその四肢を鋭く貫いた。


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