第38章


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「うぐぐ……ひでえ、こんなことしなくても後でお前にやるつもりだったんだっつの……」
 殴られた頬を痛そうに押さえながらふらふらと起き上がり、ニューラは言った。
「ヒャハ、欲しいものは自分の力で取ってこそ価値があるんだよ」
「なんだそりゃ……」
 ニューラはがっくりと肩を落とす。

 まだ茫然としているロゼリアを、マニューラは試すように見つめた。
「なーんか、まだ諦めきれないって顔に見えるな。だが、オメーじゃオレに一生かかっても勝てそうにねーし……」
 そーだ、とマニューラは手を打つ。そしてすごすご部屋を出ていこうとするニューラの腕を掴んで引き寄せた。
「こいつとまた決闘して勝てたらこの石はくれてやるよ」
 は、はぁ!?意味がわからないと言った風に二匹は思わず声を上げる。
「やっぱこんな石ニヤニヤ眺めてるより、テメーらが戦うの見た方が楽しそうだからよ」
「こんな奴、今すぐにでものしてやるっつの」
 そう言って飛び掛かろうとするニューラをマニューラはガツンと殴る。ニューラは頭を抱えてうずくまった。
「勘違いすんな、今すぐじゃねー。日時はその内いつか、オレの気が向いたら決める。その間、互いに手出しは一切無用!破った奴は群れから即追放だ。そいつにいつでも見張らせておくからな」
 マニューラはそう言って何の変哲もない岩壁の一ヶ所を指差す。二匹が怪訝に思っていると、突然壁の一部が紫色にどろりと溶け落ち、メタモンが姿を現わした。驚く二匹を見て、メタモンはマニューラに変身し、ひゃはーと得意げに嘲笑う。
「そーいうわけで、おとなしく決闘の日が決まるまでうずうずと焦らしを味わってな、ヒャハハ」

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