第38章


[31] 


「そこそこ頑張ってたそうじゃないか。あの大物に深々と刺さってた毒針、お前のだろ?」
 呆気にとられているロゼリアに、別の一匹がそれとなくといった風に言う。共に危険な狩りを乗り越えたことで、ロゼリアの存在は大部分のニューラ達にほんの少しだけ受け入れられつつあるようだった。

「……お前も少しくらい飲めるんだろ?ちょっとよってかねえか」
「おう、狩りの話をきかせろよぉ」
「マニューラの腕の心地とか特に詳しくなぁ、へへへ」
 一匹分入れそうな隙間を自分達の間に空け、ニューラ達はテーブルへロゼリアを陽気に誘う。
「は、はい!」
 感激してロゼリアは思わず大声で答えた。

 何だ、みんなちゃんと接してみれば良い方達ばかりじゃないか。これならすぐに打ち解けられそうだ。そんな風に思いながらロゼリアが席についた矢先、テーブルを思い切り叩く大きな音が広間に響き渡った。
びくり、としてロゼリアは音の方へ目をやる。ニューラ達もしんと静まり返ってそちらを見た。視線の集まる先には、怒りに顔を歪めている石盗りの姿があった。石盗りは他のニューラ達を睨み回した後、ロゼリアに“来い”と手で合図して、無言で席を離れて広間を出ていく。


[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.