第38章


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「大袈裟なんだよバカ」
 気恥ずかしげにマニューラは、騒ぐロゼリアの頭をゴンと小突いて黙らせる。
 いたっ!とたまらずロゼリアは頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「すみません、つい……」
 頭を抱えるようにさすりながらロゼリアは謝る。

「それにしても――」
 ロゼリアはまじまじとマニューラを見つめ、呟く。言われてみれば確かに、顔立ちも整い、体付きもどことなくそれっぽいような気がした。時折感じた妙な艶めかしさも、おかしな趣味――思い出したくもないイワヤマトンネルの化物のような――に目覚めてしまったわけではなかったと納得し、ロゼリアは安堵する。

「……何だよ」
 穴が開きそうなほど見つめてくるロゼリアに、マニューラは不機嫌そうに顔を近付け睨み返した。


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