第38章


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「え――ああ!ご、ごめんなさい、すみません!」
 ロゼリアはハッと我に返り、顔を真っ赤にしてどぎまぎと平謝りをしながら逃げるように離れていった。ふう、と面倒臭そうにマニューラはため息をつく。
「ま、そいつの言ったとおり、そーいうことだ。だが、そーだとしてもオレはオレ。今までと何も変わっちゃいねー。これからも余計な気遣いはいらねーぞ。しやがったらぶん殴るからな」
「は、はい!分かりました!」
 背筋をしゃんと伸ばし、ロゼリアは答える。

「……じゃあ、腕の手当ての続きだ。仕方ねーからしみるのは我慢してやるよ」
 そう言って、マニューラはぶっきらぼうに腕を突きだした。
「は、はい……その、あの、失礼します」
 ロゼリアは恥ずかしそうにしてどこか躊躇いがちにマニューラへ手を伸ばす。既に何かぎこちないじゃねーか、とマニューラはロゼリアを小突いた。

 一連の様子を見ていて、とうとう堪え切れなくなったのか、ニューラは吹き出すように笑った。
「予想以上に良い反応だったわ。思ってたより面白い奴じゃん、あんた」
「は、はあ、どうも」
 どうにも反応に困ったが、恐らく褒め言葉なのだろうと解釈してロゼリアは礼を言う。
「ふふん。ま、あたしはもうあんたの邪魔をする気はなくなったって言っておくわ。特に手伝うつもりもないけど。ただ、一部の馬鹿はまだ拘ってるみたいだから、せいぜい気を付けなさいな」

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